2010年11月22日月曜日

<日銀短観>景況感、4期連続改善 3月

 日銀が1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業?製造業でマイナス14と、昨年12月調査から11ポイント上昇し、09年6月調査から4期連続で改善した。日銀は「景気の持ち直しが確認された」(幹部)と見ている。ただし、収益回復は新興国向け輸出や政府の景気対策に支えられた側面が強い
。中小?中堅企業にもようやく薄日が当たり始めたが、依然として厳しい状況に置かれた企業は多い。景況感はまだら模様で、内需主導の自律回復には程遠い。【永井大介、清水直樹】

 ◇自律回復は程遠く 「新規の仕事まったくない」町工場

 小規模の町工場が集中する東京都大田区。同区で30年間、汚泥ポンプの製造、保守点検業を営んでき 理容店
た男性(67)は「この1年間、新規の仕事がまったくない」と嘆く。

 受注の大半が公共事業だが、自治体が地元業者を優先し、東京以外での仕事がめっきり減った。社員は息子2人だけだが、男性はこの1年、無給の状態だ。「息子はほかの仕事に就いてほしい」と力なく語った。

 大田区産業振興協会によると、ピーク時の83年に9190カ UGG australia
所あった町工場は08年に4362カ所と半減した。跡地には高層マンションが建ち並んでいく。受注を仲間内で融通する「仕事回し」など、集積の強みを武器にしてきたが、08年秋のリーマン?ショック後の世界同時不況で被った傷は大きく、廃業?撤退による「虫食い」は止まらない。

 看板がなければ民家と見間違うほどの「並木金型」の作業場では、
20?30代の3人が研磨機で金型に磨きをかけていた。指先の微妙な感覚で1000分の1ミリの精度を保つ職人技の世界だが、大手メーカーの生産の海外移転という逆風に加え、不況の影響で昨年の最悪期には、受注量がリーマン?ショック前に比べ半分以下に落ち込んだという。

 創業35年の並木正夫会長(69)は、15人の職人を育て上げた。今で
は設計にパソコンの三次元デジタルデータも使うが、「高精度な金型を作るには、職人の経験や技術が不可欠」と力説する。

 しかし、大手メーカーの多くは、生産拠点をコストの安い中国など海外に移す動きに加え、国内生産のコストも極力抑えるため、海外で安い金型を作って日本に持ち込み、下請けの部品メーカーに使うよう要請する動きを強めている 美容室


 部品メーカーに金型を納入する国内の中小零細の金型メーカーはまさに存亡の機にある。並木会長は「日本のものづくり文化が壊れないか」といらだちを隠さない。

    ◇

 「今週は稼働率が高いな」。樹脂加工メーカー、カツロン(東大阪市)の大阪府八尾市の工場で、石川明一社長(40)がほっとした表情を見せた。3月下
旬のこの日は、23本の製造ラインのうち18本が稼働、自動車の配線などを通すチューブや、手すりの表面に巻く塩化ビニール素材などが仕上がり、次々と段ボール箱に詰められる。金融危機後は一時、半分近くを停止したが、3月の売上高は14カ月ぶりに前年同月を上回りそうだ。

 昨年4月、3代目社長に就任して1年もたたない石川さんを、取引先 アグ
の破産が直撃した。取引高で五指に入るだけに影響は大きいが、「再就職が難しい今、リストラは絶対にできない」と人員削減は見送り。本社にあった工場を倉庫に転換し、倉庫の借り賃を削るコスト削減で黒字を維持したという。

 ◇自動車?電機、収益回復 新興国の需要が後押し

 3月短観は、大企業から中小?中堅に景気回復が波及する道筋を
描いたが、石川さんは「とても『回復』とはいえない」。住宅版エコポイントやエコカー減税などの政策効果もあって受注は上向いてきたが、「あくまで時限的な施策。効果が切れた後は……」と気をもんでいる。

 3月短観では、自動車や電機メーカーの業況判断指数が大幅に上昇した。新興国の需要に加え、景気対策が消費を底上げしており、全体的にみて収
益回復基調は鮮明だ。

 トヨタ自動車は大規模リコール(回収?無償修理)の影響で米国では一時的に販売が落ち込んだが、3割増だった中国など新興国に加え、国内でもハイブリッド車人気が続き、2月の世界新車販売台数は前年同月比14?8%増とプラスを維持した。

 ホンダや日産自動車も10年3月期の業績予想を大幅に上方修正。電機大手
もエコポイント効果で薄型テレビが好調で、パナソニックやソニーなどが上方修正している。短観では、10年度は3年ぶりの増収増益が見込まれ、「企業の収益は相当しっかりしてきた。多少の円高進行があっても耐えられる」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次氏)との見方が強まっている。

 しかし主要国は財政悪化で景気対策にも限界があり、「政府に
支えられた業界ほど、先々苦しむ」(アナリスト)可能性がある。昨年末に自動車の販売支援策を打ち切ったドイツでは、2月の新車販売が3割減と急減した。国内も9月末に補助制度が終了する方向で、業界では「需要の先食いの副作用で、下期にかけて販売不振に陥る」(大手メーカー幹部)と警戒している。

 短観では、輸出企業の業績回復が非製造業
にも広がっていることが確認され、「本格回復の芽」は見えた。政策効果が切れる前に、企業部門の回復が家計に波及し、内需が自律的な回復軌道に乗るかどうかが、今後の焦点となる。【大久保渉、清水憲司】

◆日銀短観の業況判断指数(DI)の推移◆

        09年 10年

        12月 3月  6月


【大企業】

製造業     ▼25 ▼14 ▼ 8

石油?石炭製品 ▼22 ▼ 5 ▼17

鉄  鋼    ▼48 ▼37 ▼33

電気機械    ▼20 ▼12   2

自動車     ▼21 ▼ 2 ▼12

生産用機械   ▼60 ▼40 ▼21

非製造業    ▼21 ▼14 
▼10

建  設    ▼24 ▼25 ▼24

不動産     ▼13 ▼ 8 ▼ 4

小売り     ▼27 ▼16 ▼11

運輸?郵便   ▼30 ▼19 ▼18

飲食店?宿泊  ▼50 ▼38 ▼28

【中小企業】

製造業     ▼41 ▼30 ▼32

非製造業    
▼34 ▼31 ▼37

※主要企業を抜粋。▼はマイナス。10年

 6月は見通し

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引用元:西宮市歯科の総合情報サイト

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